前回、チップ製作のワンオペ体制を是正しようと、
1コ下の後輩、ゴール君に1からノウハウを教え込むことにした。
果たして、ひとりデスマーチから脱却することができるのか?!
今回でなんと、ブラック研究室エピソードは記念すべき第30回目なのです。
よくもまぁ、こんだけ書くことがありますね。
卒業まで頑張って書き切りたいと思います。いよいよ佳境に来ておりますよ。
ゴール君は、やっぱりゴール君
僕「ここでクロックが立ち上がるから、そのタイミングで…」
ゴール君「うーん。なるほど…」
僕「ここでビットを反転させて…」
ゴール君「ふーむ、なるほど…」
・・・
僕「どう、いけそう?」
ゴール君「おー、すげー!べっくすさん、わかりやすい!」
僕「ホッ、良かったぁ。」
ゴール君「はい! \(^o^)/」
僕「\(^o^)/」
ゴール君「ですね、さっきのやつ、10%ぐらい理解できました!」
僕「…え?」
ゴール君「はい! \(^o^)/」
僕「(^^)」
こんな調子だった。
大丈夫。辛いのはきっと最初だけだ。
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次の日。
ゴール君「べっくすさん!質問しても良いですか?」
僕「お、やる気あるじゃん!」
ゴール君「はい! \(^o^)/」
僕「\(^o^)/」
ゴール君「えっと、昨日のところなんですけど…」
僕「ふむふむ…ここで波が立ち上がるから、足せば良くて…」
僕「(あれ…昨日と全くおんなじこと言ってる気がする。デジャヴかな?)」
僕「昨日のくり返しになっちゃったけど、これで大丈夫かな?」
ゴール君「はい!」
ゴール君「多分! \(^o^)/」
僕「(^^)」
いや、大丈夫だ。きっと大丈夫。
ほら、だって、質問するぐらいやる気を見せてくれているし。(中身は最悪だったけどね)
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そして、別の日。
僕「次に今度はここで平均をとってやればさぁ…」
ゴール君「あの、べっくすさん」
僕「ん?どしたん?」
ゴール君「で、結局のところ、これのゴールってなんなんすか?」
出たぁ!!!
ゴール出たぁ!!!
こう来ることは予想していた。
だから優しく、こう諭してあげたのだった。
僕「ゴールはね、これを完成させて、僕が平穏に就職することだよ」
ゴール君「え?どういうことすか?」
僕「ゴールはね、これを完成させて、僕が平穏に就職することだよ」
ゴール君「いや、あの、そうじゃなくて…」
僕「ゴールはね、これを完成させて、僕が平穏に就職することだよ」
ゴール君「ひぃ!べっくすさんが壊れたおもちゃに…」
・・・・・
ゴール君「僕が聞きたかったのは、この製品自体が完成したときのゴールですよ」
僕「ごめんね、つい自分の欲ばっかり出ちゃったよ」
僕「わかった、きれいごと言ってもダサいから、この際はっきり言うわ。」
ゴール君「お願いします!」
僕「正直、この製品とかまじでクソ喰らえだ!高画質の動画をリアルタイムで圧縮して・・・なんてものは、もうすでに世の中いっぱいあるじゃねぇの。Chromecastさんとかさ。」
ゴール君「た、確かに…」
僕「だから、こいつを完成させたところで、何の新規性もねぇ。得られる名誉もねぇ。地位もねぇ。だからちびっこ先生も、関わらないようにしてるんだろう」
ゴール君「悲しいっすね、僕ら…」
このままだと、ゴールがしょぼすぎて、ゴール君はこのプロジェクトから逃げてしまうかもしれない。
だから、下げて上げる作戦をとった。
僕「…でも、この機会を逆手に取って利用してやることはできる。」
ゴール君「というと?」
僕「電機メーカー行きたいんだろ?完成品はしょぼいが、メーカーに近いプロジェクトを完遂させたとなれば、これはこの上ないアピールになる…」
ゴール君「な、なるほど!!」
僕「何者でもない俺らが、何者かになれるチャンスでもあるってことよ、フッ」
ゴール君「俺、がんばります!! \(^o^)/」
僕「\(^o^)/」
うまくいったぜ。ウワッハッハッハッハ!!
さぁ、これで土台は整った。さぁいくぜ!
ゴール君はやはり要領が良い
やっぱり人生、そう上手くいかないのですね…。
1週間ほど経ったある日。
僕「は?」
ゴール君「俺、実は、来週から3ヶ月台湾に留学することになりまして!」
僕「は?」
ゴール君「なんで、あとヨロシクおなしゃす! 」
ゴール君「\(^o^)/」
僕「クソガキが!!!」
こうして、ゴール君は、台湾へと旅立った。
その後壮絶なるデスマーチとなることを予想してなのか、
上手いこと逃げ切ったのだ。
正直、この要領の良さには感服いたしました。
後日談になりますが、
ゴール君は、もちろん今後もこのデスマーチに参加することもなく、
でも一応動画像チームなので、この件に関する論文を第一著者として、国際学会に出すことに…。
そして、安々と電機メーカーから内定をもらっていたっけ。
僕は完全に踏み台にされたのでした。チクショウ!!!
では、また!!!
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